#2 絶対安静にともなう腰痛による苦痛

看護問題#2について

安静による影響について

心筋梗塞の急性期は、絶対安静のもとに集中的な治療が行われます。

患者は体動を制限され、わずかな体位変換も禁止されます。

そのため、次第に同一体位による組織への血流低下や、筋肉拘縮にともなう身体各部の筋肉痛や腰痛が出現し始めます。

また、各種の機器やチューブに囲まれて、身動きができない環境に、患者はいらだちを感じることもあります。

苦痛が身体に与える影響

身体の苦痛は交感神経活動を亢進させ、心仕事量を増加させることから、心臓への負荷を増大させます。

苦痛が続くと、がまんできずに、患者が自己判断で動いてしまい、安静が保持できなくなる可能性もあります。

また、腰痛が持続すると不眠の原因にもなります。

事例での安静および苦痛への対応

S氏も2日目に腰痛を自覚し、「どうにかしてほしい」と訴えています。

腰痛が続くと、自己判断で身体を動かしてしまうことも考えられます。

そうなると、身体的、精神的な安静は保持できなくなってしまいます。

したがって、腰痛や身体各部の筋肉痛を早期に軽減し、安楽に入院生活を送れるように援助することが重要になります。

また、肥満のため、長時間の同一体位は局所への過剰な圧迫をきたし、血液循環障害をもたらして、腰痛の悪化や、皮膚の血流障害が生じやすくなります。

心筋梗塞による心ポンプ機能の低下により、血液循環が低下するため、なおさら皮膚の血流障害が起こりやすい状態です。

局所に褥瘡ができるおそれもあり、皮膚の状態に注意する必要があります。



看護計画#2

看護目標

腰痛が軽減し、安静が保持できる。

OP(観察計画)

■看護計画

1 腰痛の有無、程度

2 苦痛による表情、言動

3 自己判断での体動の有無、程度

4 圧迫部位の皮膚の状態

5 体位変換や援助前後の自覚症状の出現や、バイタルサインの状態、心電図の変化の有無など

■看護計画の根拠・理由

4 長時間にわたって同一体位を取り続けると、骨突出部位に体圧がかかりやすいので、注意します。

5 痛みや、痛みによる身体の緊張があると、血圧の上昇がみられることがあるので、観察が必要です。

TP(ケア計画)

■看護計画

1 指示範囲内で体位変換をする。

2 バスタオルや体位変換枕、円座などを使用して、安楽な体位を工夫する。

3 腰部や背部の圧迫部位などのマッサージを行う。

4 必要時には、エアーマットを使用する。

■看護計画の根拠・理由

1 筋肉の緊張をゆるめ、体圧の分散と、局所の血流の回復に効果があります。

4 体圧を分散することで、同一部位の圧迫による血流障害を防ぎ、褥瘡を予防できる。

EP(教育計画)

■看護計画

1 安静の必要性の説明

2 腰痛などの苦痛が強いときには、ナースコールをするように説明する。

3 自己判断での体動や運動は絶対にしないようにすることを説明する。

■看護計画の根拠・理由

1 腰痛の原因になっている安静の重要性を十分理解しなければ、ストレスが増大します。

痛みは主観的なものですので、患者の訴えを受け入れて、すぐに対応する必要があります。

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