#4 急性心筋梗塞の診断を受けたことによる予後に対する強い不安

看護問題#4について

患者が抱えるさまざまな不安やストレス

心筋梗塞は死に直結することが多くあります。

また、患者や家族も死のイメージを持っているため、心筋梗塞と診断されると強い不安を抱きます。

治療過程でも、集中治療による絶対安静や絶飲食、多くの機器やチューブ類に囲まれ、日常生活の行動を制限されることによって、強いストレスを感じています。

発症直後は、心臓の仕事量を軽減させるために、テレビや読書なども禁止され、家族との面会も必要最低限に制限されます。

こうした状況が、患者の不安やストレスをさらに増大させます。

その結果、交感神経の活動が亢進して心負荷が増大し、胸痛や合併症が起こりやすくなります。

したがって、急性期における精神面への援助が重要になります。

それとともに、死への強い不安や、社会からの隔離は精神的な不安定を招き、せん妄や抑うつ、不穏な状態になりやすいので、注意しなければなりません。

事例での不安やストレスへの対応

現在、S氏は疑問や不安をすぐに表出していて、疾患を受容できているように思われます。

しかし、その反面、親族が二人も心筋梗塞で亡くなっていることや、会社や家族での立場、きちょうめんで神経質な性格を考えると、焦燥感や不安、ストレスを強く抱いていると考えられます。

また、梗塞部位や著しい心機能の低下から、予後も楽観はできず、安心して医療を受けられる精神状態ではないとも思われます。

胸痛や合併症の予防の面からも、患者が少しでも安心して、治療や生活上の援助を受けられるようにする必要があります。



看護計画#4

看護目標

不安や緊張を表出でき、今後について前向きに考えることができる。

OP(観察計画)

■看護計画

1 患者の表情、言動(せん妄、不穏、抑うつ、否認など)

2 医療者や家族への態度

3 バイタルサイン

4 疾患や治療に対する受容、理解の程度

■看護計画の根拠・理由

3 不安やストレスが交感神経の活動を亢進させ、バイタルサインの変動につながることがあります。

4 夜間の不眠は、恐怖や不安を助長させます。

また、昼夜逆転などが起こると、不穏状態をまねきやすくなります。

5 自分の状況を十分に理解することで、不安やストレスを軽減させます。

TP(ケア計画)

■看護計画

1 落ち着いた態度で接する。

2 患者の話を傾聴する。

3 頻繁にベッドサイドへ行き、声をかける。

4 看護師との会話は短時間にして、患者を興奮させないようにする。

5 家族の面会時間を調整する。

・1回10分程度だが、毎日来てもらうなど。

6 患者の不安が強いときには、医師から病状について説明を受けられるように調整する。

7 睡眠状態にあわせて、指示された睡眠剤を内服させる。

8 照明、機器や話し声などの音、室温などに配慮して、S氏が入眠できる環境をつくる。

■看護計画の根拠・理由

1 不安や緊張を与えるような態度では、患者が安心して療養に臨めず、信頼も得られません。

2-3 疾患や治療についてS氏がどう理解し、何を不安に感じているのかといった情報を得ることができます。

そばにいて話を聞くこと自体が、不安をやわらげることになります。

4 精神的な興奮は心負荷を増大させます。

会話や面会は、心負荷を避けるため、比較的短時間にします。

5 家族の面会は、患者にとって最も安心できることのひとつなので、できるだけ面会に来てもらうようにします。

6 病状説明は適宜行われますが、患者はすぐに説明を理解できないこともあります。

患者の希望に応じて、いつでも医師から説明を受けられるように調整します。

7 十分な睡眠がとれるようにして、不安やストレス、不穏状態につながらないようにします。

EP(教育計画)

■看護計画

1 処置や看護ケアについて希望があれば、言ってほしいことを伝え、患者の意向を尊重することを伝える。

2 不安に思うことや、身体の違和感があったら、すぐにナースコールで呼ぶように説明する。

3 家族には、面会は短時間で、患者を興奮させたり刺激するような話を避けることを説明する。

■看護計画の根拠・理由

1 患者の不安を和らげ、治療への意欲を支えるためにも、説明は有効です。

生命を看護師や医師にゆだねている患者にとって、説明や自分の意向を大切にしてくれる医療スタッフの態度は、信頼感を寄せて安心できるものになります。

3 家族の面会は重要ですが、会話だけでも心負荷になるため、家族への指導が大切です。

家族以外の面会は制限するなどの配慮も必要になります。

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