呼吸
■情報
・呼吸:20回/分
・PaO2:77.0mmHg
・PaCO2:38.9mmHg
・肺野にて湿性ラ音を聴取。
・軽度呼吸困難、チアノーゼあり。顔色不良。
・酸素療法(経鼻カニューレで5L/分)を開始。
■アセスメント
心ポンプ機能の低下によるうっ血性心不全から、低酸素血症になり、呼吸困難が出現している。
低酸素状態は心筋の壊死を拡大するため、高濃度の酸素を心筋に供給して壊死の拡大を防止し、虚血心筋を保護する必要がある。
循環、体温
■情報
・心拍数:92回/分
・血圧:132/84mmHg
・体温:36.8℃
・心電図:V1~V4でST上昇、心室性期外収縮、ショートランが見られる。
・心臓超音波:駆出率40%、前壁中隔の壁運動低下
・胸部X-P:CTR 55%、肺うっ血軽度あり
・CAG、PTCA結果
LAD#6:99% → 25%
LCX#11:75%
・胸痛は消失
・治療内容
1.左前腕末梢より持続的静脈注射
ST3(500mL)+ ガスター1A(40mL/時)
ヘパリン(5000u)+ 生理食塩水(45cc)、5cc/時
ニトロール(10cc/時)
ラシックス1A(20mg)静脈注射
2.右鎖骨下静脈よりスワンガンツカテーテル
3.左橈骨動脈より動脈圧モニター
4.右大腿動脈よりPTCAのためカテーテル
・採血データ
WBC:11000
AST:19
ALT:30
CPK:142
LDH:323
CRP:0.3
Cl:107
Na:141
K:4.3
■アセスメント
前壁中隔梗塞および、駆出率の低下を生じているので、1回拍出量が低下して、各臓器への血流の低下を招きやすい状態である。
心拍数の増加は、酸素消費量を増加させ、梗塞範囲を拡大させるおそれがある。
梗塞の拡大を防ぐために、心仕事量を増加させないようにする。
薬物療法と安静によって、胸痛は抑えられている。
胸痛の出現は、患者の不安や恐怖を助長させて、心筋の虚血を増強する。
患者の精神状態の安定に努め、薬物療法の管理を確実に行う必要がある。
PTCAを行ったが、再梗塞や致死性不整脈が出現するおそれがあるので、経時的に心電図の観察をする必要がある。
急性期は不整脈が出現しやすい。
利尿薬と投与すると血清カリウムが排泄されて、血中の血清カリウム濃度が低下し、不整脈が生じやすくなるので注意する。
発症直後は急激な心筋障害によって循環動態が不安定なので、スワンガンツカテーテルや動脈圧モニターから得られるデータを継続的に観察し、異常の早期発見につとめる。
左大腿動脈からカテーテルを挿入したままなので、出血や血栓遊離による末梢血管の閉塞などのおそれがある。
挿入部と末梢動脈の触知や観察の必要がある。
心筋梗塞を示す酵素の上昇はないが、発症後数時間してから出現し始めるため、今後の採血データに注目する必要がある。
心筋の壊死や各種ルートの挿入にともなう感染により、発熱や炎症反応が上昇するおそれがある。
栄養
■情報
・身長:172cm、体重:76kg
・採血データ
TP(総タンパク):7.2、TG(中性脂肪):223
・絶飲食に治療のために理解は示すが、「のどが渇く。せめて水を飲ませてほしい」と話す。
・アレルギーなし
■アセスメント
肥満(BMI:27)と高脂血症を示している。
肥満は心負荷を増大させ、高脂血症は動脈硬化を促進させる。
減量の必要性がある。
室内の乾燥と酸素療法、利尿薬投与による脱水によって、口腔が乾燥して口の渇きが生じている。