心筋梗塞患者の情報収集とアセスメント2

排泄

■情報

・床上排泄

・尿留置カテーテルを挿入

・尿量:800mL/日

・採血データ

BUN(尿素窒素):17、Cr(クレアチニン):1.2

・腹部は平坦で緊張なく、腸蠕動音も正常である。

・排便:1回/2日

■アセスメント

うっ血性心不全に対して利尿剤を与薬したので、尿量に注意し、水分出納を観察する。


PTCA後の造影剤の排泄にともなう尿比重の確認も必要である。


腹部の所見に問題はないが、絶飲食と運動量低下によって便秘になりやすい。

排便時の怒責によって胸痛を誘発するおそれがあるので、注意する。

活動、姿勢

■情報

・絶対安静

・「ずっと寝ているから腰が痛い。何とかしてほしい。少しくらい動いてもいいだろう」と訴えている。

■アセスメント

慣れない長時間の同一体位は、筋肉を拘縮させて腰痛や筋肉痛を引き起こす。

腰痛は安静の妨げにもなるので、緩和をはかるようにする。

睡眠、休息

■情報

・1ヵ月前より睡眠時間は4時間程度だった。

・「不安で眠れない」と話す。

・夜間、何度かナースコールがあり、うとうとした程度で深く眠れていない。

■アセスメント

突然の入院への不安や、侵襲的な治療による緊張、心筋梗塞に対する死への恐怖などによって、不眠傾向になっている。

不眠が続くとストレスになるので、早期に対応する必要がある。

清潔、衣類

■情報

・看護師が全面介助で行っている。

・「口の中がべたべたして気持ち悪い」と話す。

<入院3日目より>

・全身清拭

・陰部洗浄:1回/日

・洗髪:1回/週

・口腔ケア:3回/日

・ヒゲそり:1回/日

・更衣:全身清拭時に行う。

・皮膚には外見上、汚れは見られない。

・浴衣を着用している(ふだんはパジャマ)。

・「浴衣は寒そうで嫌だ」と話す。

・洗濯は家族がしている。

■アセスメント

清潔ケアは心負荷となるので、短時間で行い、疲労を与えないようにする必要がある。


口腔内の不快感が強いので、感染予防のためにも口腔ケアを行う必要がある。


浴衣に不満を述べているが、処置が多いため、着脱がしやすい浴衣が便利である。

緊急時の対応もしやすい。

心理

■情報

・「もうダメなんじゃないのか。親父と兄はこれで死んでいるんだ」、「社会復帰なんてもうできないだろう」などと話す。

・質問は多いが、治療には協力的である。

■アセスメント

同じ疾患による近親者の死を体験していて、自分の死や今後の社会復帰への不安や緊張が強く、混乱しているようなので、精神的な援助が必要である。


医師、看護師を信頼して、治療に協力的である。

不安はありながらも、前向きになろうとしている。

生活背景、性格

■情報

・55歳、会社員。妻(52歳)、長女(20歳)の3人暮らし。長男(24歳)は会社員で一人暮らしをしている。

・キーパーソン:妻

・性格:きちょうめん、神経質

・趣味:ゴルフ、映画鑑賞

・喫煙:20本/日

・飲酒:日本酒2~3合/日

・最近1ヵ月は会合などで帰宅が遅く、外食などで飲酒量が増加していた。

■アセスメント

患者は会社で比較的重要な立場にあり、家族のためにも早期に社会復帰をしたいと考えている。

家族や仕事に対して役割意識を持ち、達成感を持っているようである。


性格から物事にこだわりがあり、そのためストレスをためやすいようである。


外食は飲酒、不規則な生活、多忙な仕事でストレスが高まっていたと考えられる。

学習

■情報

・「私まで心筋梗塞になるとは。やはり遺伝かな」、「もう少し生活に気をつけるべきだった」と話す。

・リスク因子:高脂血症、肥満、喫煙、ストレス、家族歴(父、兄が心筋梗塞で死亡)、A型性格

■アセスメント

心筋梗塞の親族が多いが、自分の健康や生活習慣にあまり注意をしていなかったようである。

リスク因子も多いことから、再梗塞を予防するためには、生活を見直して改善する必要がある。

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