アセスメントとは、本来は、査定、評価といった意味です。
看護では、患者の主観的情報(訴えや言動など)と客観的情報(検査データ、バイタルサイン、表情、排液の状態など)をもとに、看護上の問題点を分析することです。
一般に、心筋梗塞患者のアセスメントにあたっては、次のようなことに注目することが大切です。
胸痛
心筋梗塞時の胸痛は激しく、長時間持続します。
痛みは心窩部や肩、腕、上顎部に放散することもありますので、胃痛や歯痛と間違えることもあります。
梗塞の範囲と循環動態のアセスメント
梗塞による心筋壊死の範囲は、心電図の各誘導でのSTの変化や異常Q波の出現から判断できます。
心筋の壊死によって、ポンプ機能の低下が生じると、血圧、動脈血酸素分圧、尿量が減少して、中心静脈圧が高くなります。
スワンガンツカテーテルが挿入されている場合は、心拍出量、肺動脈圧、肺動脈楔入圧も観察して、循環動態が評価できます。
合併症の危険性
不整脈、心不全、心原性ショックが、心筋梗塞の3大合併症です。
不整脈の原因は、心筋内の電気伝導障害と血清カリウムの濃度によるものです。
事例のような左冠動脈の閉塞では、心室性期外収縮や、これが連続するショートランが多くなります。
心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈に移行することがあるので、注意が必要です。
急性心不全、心原性ショックの徴候は、血圧低下、腎血流量減少による尿量の減少、肺うっ血による呼吸困難などです。
CX-P(胸部X線写真)でCTRが50%以上で、CVPの上昇があれば、ポンプ機能の低下を疑います。
集中治療による不安と緊張
患者は、胸痛による不安に加えて、モニター機器の装着や処置のために緊張が増大し、パニックになりやすいです。
こうした不安や緊張は、不自然な言動や不穏、睡眠障害などとなって現れます。
安静の必要性に関連したセルフケア不足
発症直後は、酸素消費量を抑えるために安静が必要になります。
さまざまなケアが、心臓にどの程度の負荷になるのかを、血圧の変動、不整脈の有無、心電図の変化、SaO2(動脈血酸素飽和度)の低下、患者の息切れや胸痛の有無などからアセスメントして援助します。
病気の受け止め方、および指示に対する理解
急性期には、患者は安静の必要性を理解して守る必要があります。
したがって、患者の病識や理解力を把握しておくことが大切です。